コラム

農業ビジネスをするために定義を拡げる

更新日:2024年11月23日

今回は、農業ビジネスをするためには考え方を変える必要があることを話します。
農業ではなく、農業ビジネスです。
 
自社では農業キャリアを一緒に考えていく研修を行っていますが、最初の段階でお話をするのは、農業ビジネスの定義を拡げていきましょうという話をしています。
 
農業といえば、最初に思い浮かぶのは農作物をつくる行為 ―生産活動― が最初に出てくると思います。
そのため、農業ビジネス=生産活動 という図式に無意識になってしまい農家にならなければできないと思い込んでいる人も結構います。

画像

しかし、多くの研修生の本当のニーズを知ると農家になりたい人はかなり少ないです。
これはどういうことかというと
「農家になりたい」わけではなく【農業に関わりたい】ということです。
それでいて、売上が発生する事業をしたいというわけです。
 
では、農業に関わるためにはどうすればよいか。
私個人の見解をお伝えするのならば、それは
農業ビジネスの定義を拡げることにつきます。
そのことについて話をしてみます。 

生産から消費までのプロセスを知る


下の図は農業の生産から消費までを書いたプロセスの図です。

画像

私なりの分類で作成をしました。
見ての通り農業ビジネスは、生産活動に関わる時間とコストの割合が高いことが分かります。
当たり前ですが、農業において生産活動は必須となります。
 
では、それ以外のプロセスについてはどうでしょう。
物流】
どれだけいい農作物を生産したとしても、消費者に届けなければ意味がありません。
販売】
販売をして買ってくれる人がいて初めてビジネス(仕事)が成り立ちます。
【加工・調理】
農作物をそのままの状態で食べる人はほとんどいません。
そのために誰かが必ず調理加工をする必要があります。
体験サービス(販売は除く)】
体験サービスついては、必ずしも必要なわけではありませんが
農作物の価値や素晴らしさをしるためには必要です。
サポート業
気づかれることが少ないのですが、これらも農業をすすめていく上で必要な存在。
いろんな種類を知らない人達も多い分野です。
 
以上のように農業ビジネスといってもいろんな分野から構成されていることになります。
私の解釈では、これら全てを含んで農業ビジネスとみなしています。

農業ビジネスは生産活動だけではない

とはいえ、生産することを生きがいになる人達が多いことも確か。
私もその一人です。
しかし、いくら好きであっても、生きがいであったとしても
ひたすら朝から晩まで生産活動をすれば、逆に体調を崩す危険性が増していきます。
売上や出荷量のノルマがあればストレスを感じる人も多くいます。
それは年齢を重ねれば重ねるほど、その負荷は大きくなっていきます。
そのため、生産活動を中心の農業ビジネスを進めていくのは慎重に考えていく必要があります。
 
もちろん、生産活動を一切やるなと言っているわけではなく
生産活動に関わる度合は、その人の目的、背景、環境、予算などによって変わることをお伝えしたいのです。
その関与する度合いが少ない場合は農家になる必要がありません。
 
しかし農家にならない場合でも、農業ビジネスに参画することができると私は考えています。
例えば、私で言えば農地を持っていなければ借りてもいないですが、ほぼ毎日農業を営みながら、イベントや研修、地域おこし事業など幅広くやらせていただいています。
それでいて一般の農家さんの平均の収入よりも多く稼ぐこともできます。
私も最初は農家なるべきでは、と考えた時期はありましたが、農家になるための時間やコスト、また必要以上の農業関係者との人間関係の構築などが求められることもあり、別のやり方を考えた結果、今があります。
 
私自身も今後も生産活動は続けていきます。
もちろん全部やるのではなく一部だけ。もしくは生産量を減らす工夫をしています。
その上で、先ほど示したプロセスのどれかの分野を連携させて事業を行っています。
私は先日も、多摩市農業公園で栽培をしつつも、サツマイモ収穫をイベントとして行っていました【体験サービス業との連携】。

画像

具体的な実践方法や例については、また別の機会にお話していきます。 

重複しますが最後に結論として
農業ビジネス=生産活動という思い込みで、農業ビジネスに関わることをあきらめてしまうのは、とてももったいないということ。
可能性の幅を広げるためにも、まずは農業ビジネスの定義を拡げて柔軟に考えてみませんか?

というお話でした!

【文責 一般社団法人畑会 代表 山田正勝】